ECサイトリニューアルの際、最も悩ましいテーマの一つが『ECシステム・ベンダーの選定』ではないでしょうか!?
特にパッケージ・ASP問わず、現状に不満を抱える企業、過去に失敗経験のある企業は
警戒心も高まり「何を基準に選定したら良いか分からない!!!」
という企業が少なくないと思われます。
今回は、弊社が提供する
● ECパッケージ・ベンダー選定
● ASPサービスによるECサイト構築
● ECシステムのスクラッチ開発
以上のサービス提供経験から、お役に立てる情報を発信できればと思います。
【目次】
1)『選定 難易度』が高くなる理由
2) EC事業主の『心得』
3) まとめ
1)『選定 難易度』が高くなる理由
まず、前提として
ECパッケージへの要求が明確な場合、という条件がつきますが
選定難易度が高まる理由は、主に3つに整理されると考えます。
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① カスタマイズ可能
② 他社の導入事例
③ サードパーティーの存在
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① カスタマイズ可能
事業主の要求を実現すべく、善意から「パッケージのカスタマイズ」というベンダーからの提案を受けます。実際に運用してみると、異なる機能・仕様である可能性が残っていても「実現できるかも!?」という期待値が、どんどん膨らんでいきます。
②他社導入事例
企業の強み、売り方、顧客対応方針、優先順位など、前提条件が異なるのですが、自社の先を行く類似案件などを知るうちに「間違いないかも!?」という安心感が沸きます。
③サードパーティーの存在
レコメンド、メール配信、検索、MAツールなど、ECサイト運営に必要な機能やツールは外部サービスとの連携が基本方針というパッケージが多く「機能比較による優劣」が分からなくなります。
ざっと、これらの要素が選定を難しくします。
2) EC事業主の『心得』
では、難易度の高い「ECパッケージ・ベンダー選定」で失敗しないために、どうすれば良いのか?
筆者なりに整理してみました。
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① 都合の良い期待は捨てる
② システム再構築の目的は何か?
③ トレードオフを常に意識する
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① 都合の良い期待は捨てる
カスタマイズが不可能な領域は必ず存在します。これは絶対です。
家やパソコン、車などの有形物でイメージをしてもらえれば、カスタマイズ可能な領域と不可能な領域が存在するのは容易に理解できると思います。
ECシステムの場合、目に見える機能のカスタマイズには、根幹となる「データ」の構造やフロー、運営上の条件分岐などが関係してきます。
そのため、カスタマイズが不可能な領域が存在し、仮に機能が実装できても
運営してみると「想定と違った」という事が生じます。
② システム再構築の目的は何か?
◆ 売上アップであれば・・・
具体的な施策のシミュレーションを行い「施策を実現できるか?」をベンダーに確認し
想定外の領域を明確にし、パッケージの機能・仕様に合わせて運用するなど
目的を達成するための方法を、何通りも準備します。
◆ 業務効率の改善であれば・・・
現システムに責任を負わせていないか?ボトルネックは何か?運営方針の再考は不要か?
機能で解決する領域、運営方針の再考で解決する領域の「両軸」で改善を試みます。
運営方針を再考するには様々な壁もあると思いますが、業務フローを整理し、特定業務の削除を検討します。勇気をもって削除してみると意外と問題が小さいケースも少なくありません。
◆ サイトの表示速度が問題であれば・・・
ボトルネック・原因を把握しているか?アプリケーション・html・画像・インフラなどなど
現在の課題を放置しない事が、新システムリニューアル後、同じ問題を繰り返さない事に直結します。
3) まとめ
◆ 期待を裏切りたいベンダーは存在しない
当然の事ですが、誤解や認識齟齬などを起こしたいベンダーは存在しません。
同じく失敗したいEC事業主も存在しません。
常にトレードオフを考え、要求整理・要件定義を行う事をおすすめします。
◆ ASPカートは誤解が少なく分かりやすい
提供機能が明確なASPカートは誤解が生まれにくいという利点があります。
また、カスタマイズという選択肢が存在しないため【現実的】な思考になります。
API機能を実装するASPカートも存在します。ASPカートで実現方法を再考するというのも一つの選択肢だと思います。
「ECシステムの選定」というのは難しいですね。
「カスタマイズが出来る」と聞いてしまうと、要求が広がり難い会計や人事システムと異なり、サイト訪問者がワクワクする事・楽しく買える事などを考え
『やりたい事』『あったらいいな』という要求が増えていきます。
すると、ベンダー側では、それらの要求に「応えたい!」という思いが生まれます。
スクラッチ開発ではない以上、トレードオフが存在するという考えをお互いに理解した上で進行する事で、理想の「ECシステムリニューアル」に近づけると身をもって感じます。
最後まで確認いただき、有難うございました。
何か一つでも、訪問してくださった方のお役に立てる事を願います。
インターネット・ビジネス・フロンティア株式会社
宇都雅史
※本記事の内容を加筆修正した内容は、こちらに掲載しています↓↓
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