Meta広告(Facebook、Instagram)の「Advantage+ショッピングキャンペーン(ASC)」のAI・機械学習について紹介します。「AI・機械学習の仕組みは?最適化とは?」「学習に必要なCV数は?期間は?」といった内容を、分かりやすく解説します。
【目次】
1.【前提】Meta広告「ASC」におけるAI・機械学習の「仕組み」
2.【概要】Meta広告「ASC」におけるAI・機械学習の最適化とは?
3.【影響】Meta広告「ASC」におけるAI・機械学習の情報収集期間で発生する影響・実例
4.【対策】Meta広告「ASC」におけるAI・機械学習の情報収集期間で必要な心構え・対策
5.【まとめ】Meta広告「ASC」におけるAI・機械学習の最適化について
1.【前提】Meta広告「ASC」におけるAI・機械学習の「仕組み」
【デジタル広告におけるAI・機械学習の仕組み】
「AI」という言葉は広い意味で使用されていますが、厳密には「機械学習」や「深層学習」といった階層があります。(※下図参照)
※出典:「令和元年版 情報通信白書」(総務省)
明確な棲み分けが難しい概念ですが、AI(システム)が
1)点在する膨大なデータを「解析」する
2)1から「規則性」や「法則性」を見つける
3)2をもとに「(人に指示された)結果」を出すための意思決定を行う
と言った事を自動で実現してくれるものを「機械学習」と呼びます。
デジタル広告においては、媒体各社のAIが
1)広告運用におけるデータを分析する
2)ターゲットやクリエイティブの正解パターンを見つける
3)目標CPAやCV数を達成できるようにターゲティングや配信を実行する
といった、一連の作業を自動で行う技術を「機械学習」と呼びます。
これにより、広告主は、最低限の工数で、効果の高い広告を配信する事ができます。
【Meta広告におけるAI・機械学習の仕組み】
Meta広告(Facebook、Instagram)でも、AI・機械学習を活用したプロダクトが存在します。
それが、「Advantage+ ショッピングキャンペーン(以下ASC)」と呼ばれる、「商品販売」に特化した自動化キャンペーンです。
といっても、非物販のWebサイトを運用する広告主でもご利用頂けます。
※Metaビジネスヘルプセンター:Advantage+ ショッピングキャンペーンについて
AIにより、最もパフォーマンスの高い広告を、獲得見込みの高いユーザーへ自動配信する事ができます。
最低限の設定・設計とクリエイティブさえ用意すれば、全てAIに「丸投げ」という仕様です。
例えばASCでは、
・オーディエンスの年齢/性別をどうすべきか?
・配信面はFacebook/Instagramどちらが良いのか?
・どのクリエイティブを選定(配信)するか?
・どんなペースで予算消化すべきか?
こうした決定を、AIが自動で行ってくれます。
※Metaビジネス:機械学習で広告の配信を最適化する
<補足>
ASCに関しては、過去のコラムでも度々ご紹介しているので、合わせてご参照ください。
【Meta広告】「Advantage+ ショッピングキャンペーン(ASC)」とは?従来のキャンペーンとの違いや設定方法を分かりやすく解説!
【非物販サイトにも有効】Meta広告の「Advantage+ ショッピングキャンペーン(ASC)」で「Web申込のCPA」を40%削減した事例
2.【概要】Meta広告「ASC」におけるAI・機械学習の最適化とは?
「最適化」を理解する上で外せないのが「情報収集期間」と呼ばれる概念です。
「情報収集期間」とは、「媒体側のシステムがまだ多くの学習(情報収集)を必要としている期間」の事です。
具体的には、広告表示の「対象(人)」や「クリエイティブ」といった要素の最適なパターン(組み合わせ)を模索している期間です。
※Metaビジネスヘルプセンター│情報収集期間について
例えば、ある釣り具用品のECサイトが、「1日15件のCV」を目標に、Meta広告に出稿したとします。
①:初日は、期待を大きく下回り、2件の注文(CV)が入った。
↓
②:AIが、「2件のCV」と「自社(Meta社)が保有する大量のデータ」をもとに、規則性や法則性を考える。
↓
③:AIが、「CVする可能性が高いのは(釣りに興味があるのは)このパターンだ!」という予測をして、配信する対象(人)やクリエイティブ(広告素材)、配信先を選定する。
↓
④:翌日、4件の注文が入った。
↓
⑤:AIは、「2日間のデータ(6件のCV)」と「自社が保有するデータ」をもとに、改めて予測をして広告を配信する。
↓
⑥:翌日、8件の注文が入った。
↓
⑦:以降、同じように「結果を分析⇒予測の精度を高める⇒広告配信」というサイクルを繰り返す。
↓
⑧:7日目に、目標としていた1日15件のCVを達成でき、以降も安定して目標達成できるようになった。
上記の例で言えば
「①~⑦」の期間:情報収集期間
「⑧」以降の期間:最適化された状態
となります。
3.【影響】Meta広告「ASC」におけるAI・機械学習の情報収集期間で発生する影響・実例
AIが「情報収集をする一定期間(7日~10日程度)」は、AIが最適な配信方法を「模索」している状態です。
そのため、CPAをはじめとした各数値パフォーマンスが安定しません。(※下図参照)
この「情報収集期間」がクセモノです。
初動は数値が安定しにくい。
つまり、「徐々に成果が安定(良化)する」という傾向を押さえる必要があります。
この点を正しく理解しておかないと、目先の数値変動に一喜一憂し、機械学習を損なう判断をしてしまうケースがあります。(詳細は次章で解説します)
こちらは、弊社クライアントでASCを配信開始した直後の数値変動です。(※下図参照)
ご覧の通り、「徐々に」数値が安定(良化)している事が分かります。
4.【対策】Meta広告「ASC」におけるAI・機械学習の情報収集期間で必要な心構え・対策
「AIが何もかもを良きに計らってくれるハズ!」というのは誤った認識です。
具体的には、運用者(人)による以下の3つの心構え&対策が重要になります。
1.学習期間は待つ・耐える
2.充分な予算を確保する
3.クリエイティブを事前準備する
【1.学習期間は待つ・耐える】
数値が良化しないからと言って、スグに設定を編集したり、停止判断をする事は避けましょう。
前の章でも紹介した通り、AIが「情報収集をする期間(学習期間)」は「7日~10日程度」です。
※Meta広告上でABテストを実施するなどして、もっと短期間で明確に勝敗が付くケースもあります。
最適化が働く「前に」以下のような変更を加えると、機械学習を妨げてしまいます。
※Meta Blueprint:パフォーマンスの最適化
・ターゲット設定の変更
・クリエイティブの変更
・最適化イベントの変更
・広告セットに新しい広告を追加
・入札戦略の変更
【2.充分な予算を確保する】
最適化に必要なCV数は「50件/週」 or 「15件/日」とされています。
※Metaビジネスヘルプセンター│情報収集期間について
単純計算ですが、仮にCV1件あたりの目標CPAが「5,000円」だとすると、
1ヶ月に必要な最低予算は、5,000円/件×50件/週×4週=「1,000,000円」になります。
最適化を早めるという観点で言えば、「CV数を増やすための対応」も検討すべきです。
具体的には、「日予算を増やす」という選択肢です。
なお、日予算に関しては、Meta社のコンサルタントより以下の推奨を発信いただいた事があります。
・新商材にて「ASC」を運用開始する場合
・日予算「最低でも5,000円以上」が推奨
・かつ、日予算「2,000~3000円」で「従来の手動売上キャンペーン」を並走させるのが理想
※取扱い商材やMeta広告アカウント(ピクセル)の機械学習状況にもよるかと思いますので、あくまでも参考数値として下さい。
【3.クリエイティブを事前準備する】
CVを増やす(AIが学習するデータ量を増やす)という観点で、「予算」以外に、もう一つ重要な対策があります。
それが、「クリエイティブ(広告素材)」です。
情報収集期間の途中で過度に変更・投下するのは避けるべきですが、CVを増やす(機械学習を促進する)という観点では、「クリエイティブの本数」が重要です。
Meta社によると、本数が「15本未満」と「15本以上」のASCを比較した結果、後者のCPAが平均12%改善したそうです。
そのため、「最低でも15本以上」のクリエイティブを常時配信できるように、ASCを運用すると良いでしょう。
<補足>
ASCのクリエイティブに関しては、過去のコラムでもご紹介しているので、合わせてご参照ください。
【なぜ重要?広告疲れとは?】Meta広告「Advantage+ ショッピングキャンペーン(ASC)」におけるクリエイティブの重要性を分かりやすく解説
【本数は?投入頻度は?】Meta広告「Advantage+ ショッピングキャンペーン(ASC)」でクリエイティブを多様化!チェック項目5選
5.【まとめ】Meta広告「ASC」におけるAI・機械学習の最適化について
いかがでしたか?
今回は、Meta広告(Facebook、Instagram)の「Advantage+ショッピングキャンペーン(ASC)」のAI・機械学習について紹介しました。
デジタルマーケティングは日々進化しています。
Metaの「ASC」に限らず、Googleの「P-MAXキャンペーン」など、AIを主軸とした広告プロダクトも増えています。
媒体によって、AI・機械学習の特徴や、推奨される予算や最適化期間などが異なります。
そのため、実際の成果を見て判断し、「運用者(人)がAIを制御する」という観点が重要です。
運用者や代理店に任せっきりになっている…という方は、
本コラムの情報を参考にして、確認・指示してみましょう。
本コラムが、ASCの正しい理解と効果的な運用に役立てれば幸いです。
お悩みやお困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。
それでは、また別のコラムでお会いしましょう。
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