広告事業主が押さえるべきCookie規制の「影響」と「対応」

広告効果の改善

広告事業主が押さえるべきCookie規制の「影響」と「対応」

Google社の3rd Party Cookieの段階的廃止やApple社のITP規制などの話題がよく耳に入ります。規制が与える影響は何なのか?自社がとるべきアクションは何なのか?本コラムではWeb広告を運用する事業主を対象に、Cookieレス時代に必要な最低限の情報をお伝えします。

【目次】
1.Cookieとは?
2.データ取得が困難に!Cookieを取り巻く環境
3.広告事業主が押さえるべき規制の影響
4.Cookieレス時代に求められる広告事業主の心構え・対応
5.まとめ

1.Cookieとは?

Cookieとは?

 

【Cookieとは?】
『Cookie(クッキー)』とは、「Webサイト訪問者の情報を一時的に保存する仕組み」のことです。
簡単に言うと、Webサイトに残る「足跡」のようなものです。例えば、以下のような場面で使われています。

・ログイン状態の保持
・お気に入り保存
・閲覧していた動画の途中再生
・フォーム入力内容の保持
・買い物カゴの中身の保持

 

【2種類のCookie】
Cookieには、2種類あります。
『1st Party Cookie(ファーストパーティークッキー)』と『3rd Party Cookie(サードパーティークッキー)』です。

『1st Party Cookie』とは、「ユーザーが訪問しているWebサイトのドメインから発行されているCookie」のことです。例えば、今このコラムをご覧いただいている場合、「ecfs.jp」のCookieを指します。

『3rd Party Cookie』とは、その名の通り、「第三者が発行するCookie」のことです。例えば、今このコラムをご覧いただいている最中に「過去に閲覧した別のサイト(商品・サービス)のバナー広告」が表示された場合、そのCookieのことを指します。要は、ディスプレイ広告などの「広告配信サービスのドメインから発行されたCookie」を指します。

(※下図参照)

1st Party Cookieと3rd Party Cookieの違い

『3rd Party Cookie』は異なるドメインをまたいで保持されるため、企業目線で言えば、自社サイト以外でのユーザー行動を知ることができ、Web広告の効果測定や最適化を可能にする便利な仕組みです。

一方で、『3rd Party Cookie』はユーザーの明確な同意がないままに収集&活用されるため、ユーザー目線で言えば、知らず知らずのうちに収集された自分の行動データをWeb広告のために“勝手に使われる”ということになります。

後述しますが、今問題になっているのが、この『3rd Party Cookie』の存在です。

2.データ取得が困難に!Cookieを取り巻く環境

データ取得が困難に!Cookieを取り巻く環境

 

【プラットフォーマーによる規制】
『3rd Party Cookie』に対するユーザーの不安・不満を解消すべく、Google社やApple社などの世界的なプラットフォーマーは、『3rd Party Cookie』に対する規制を強めています。

例えば、Google社では、2023年後半までにWebブラウザ『Chrome(クローム)』での『3rd Party Cookie』を段階的に廃止する方針を発表しています。

また、Apple社の商品(iPhone、iPad、MacBookなど)の標準ブラウザである『Safari(サファリ)』では、既に『3rd Party Cookie』が事実上使用できなくなっています。よく耳にする「ITP規制」というのがまさにこのことです。

ITPとは『Intelligent Tracking Prevention』の略称でCookieの利用を制限することを指します。
『Safari』の機能を利用する際は、『Safari』利用時のみ制限することが可能になります。

いずれの場合でも、大半のシェア*を占めるブラウザで『3rd Party Cookie』が使えないことになるため、広告事業主は規制による影響をダイレクトに受けることになります。

*補足:Webブラウザランキング
Statcounter GlobalStatsによると、世界のブラウザシェアは『GoogleChrome(64.67%)』と『Safari(19.06%)』で8割を超えます。またwebrageによると、国内のブラウザシェアは『GoogleChrome(55.34%)』と『Safari(7.56%)』で6割を超えます。※いずれも当コラムを執筆した2021年11月22日時点の情報です。

 

【国家レベル・法令面での規制】
プラットフォーマーによる規制の背景にあるのは、「国家レベル・法令面での個人情報保護」の高まりです。

EUでは、2018年に『GDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)』を施行し、アメリカのカリフォルニア州では、2020年に『CCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州消費者プライバシー法)』を施行しました。細かな違いはありますが、どちらも「Cookieを個人情報として定義」し、「ユーザーが提供に同意しない限りCookieの取得&活用に制限がかかる」という点が共通しています。

日本では2020年6月に改正個人情報保護法が成立し、2022年6月までに施行される予定です。『GDPR』や『CCPA』と異なり、Cookieを「個人情報」ではなく「個人関連情報」という括りにしていますが(※つまり多少は緩いのですが…)、従来よりもCookieを慎重に扱うことが求められる内容になっています。

 

【個人情報保護に関する規制強化の変遷】

個人情報保護に関する規制強化の変遷

3.広告事業主が押さえるべき規制の影響

広告事業主が押さえるべき規制の影響

Cookie規制により広告事業主が受ける影響。
大小含めていくつもの影響があると思いますが、主に次の3つに集約されます。

1)ユーザーのトラッキング(後追い)が困難になった
2)広告の精度が下がった
3)正確なCV計測が困難になった

 

【影響➀:ユーザーのトラッキング(後追い)が困難になった】
代表的なのは、一度自社サイトへ訪問したユーザーに広告配信する『リターゲティング広告』です。

『3rd Party Cookie』が利用できないことで、「複数のサイトをまたいで閲覧したユーザー行動の履歴を追跡する」ということが困難になりました。

 

【影響②:広告の精度が下がった】
代表的なのは、ユーザーの属性や行動履歴に合わせて関連広告を配信する『オーディエンスターゲティング広告』です。

『3rd Party Cookie』が利用できないことで、「3rd Partyデータを活用して年齢・性別・興味関心などの属性を推測して特定のユーザー層へ広告を配信する」ということが困難になりました。

 

【影響③:正確なCV計測が困難になった】
代表的なのは、アフィリエイターと呼ばれるブロガーなどのWebサイト上に広告を掲載してもらい、CVした時にのみ費用が発生する『アフィリエイト広告』です。

アフィリエイト広告のCV計測には『3rd Party Cookie』が使われています。そのため、『3rd Party Cookie』が利用できないことで、「アフィリエイターの記事内で発生したCVを正しく計測する」ということが困難になりました。

また、そもそもWeb広告においては、「広告を見た(クリックした)ユーザーが、その後一定期間内に『購入』や『資料請求』など、CV設定された行動をした場合にCVとしてカウントされる」という仕組みがあります。

そのため、Cookieの保持期間が短くなることで、アフィリエイト広告に限らず「保持期間を過ぎた後で(Cookie情報がない状態で)CVに至った場合、CVとして計測されない」という問題が発生します。

上記3つから派生して、

● 効率が悪化する…(CPA、CPO、ROAS、ROIなど)
● 成果が悪化する…(CV数、LTV、売上など)
● 施策・媒体別の費用対効果が見えない…(いくら売れたのか?今の予算は適正なのか?判断がつかない)

などの問題が発生します。

4.Cookieレス時代に求められる広告事業主の心構え・対応

Cookieレス時代に求められる広告事業主の心構え・対応

「効率も成果も悪化するし、費用対効果も見えない…」ということで、今後の先行きに不安を感じる事業主さまが多いのではないでしょうか?

最後に、Cookieレス時代に求められる広告事業主の心構え・対応について、整理します。

「もう広告だけに依存しない施策が必要だよね…」というのが本質ではありますが、今日から意識すべき心構えと対応を、以下3点に絞って解説します。

1)Cookie規制に関する情報を「正確に」把握する
2)外部パートナーとの関係性を発展させる
3)管理画面・レポートだけの評価をやめる

 

【対応➀:Cookie規制に関する情報を「正確に」把握する】
規制の状況を「正確に」把握しておくことで、自社が抱える課題や打つべき施策が見えてきます。
まずはネットで調べてみたり、詳しい人間に聞いてみたりして、規制の動向を逐一キャッチアップしましょう。

「正確に」把握しておかないと、正しい情報処理が困難になります。結果、自社の状況を考慮した情報の取捨選択が出来ずに、「流行りに乗っかった無駄な施策」や「コンサルタント」に振り回されることになります。

周りに振り回されて「時間」や「お金」を無駄に浪費するのを避けるべく、「事実を正しく把握する」ように心がけましょう。

 

【対応②:外部パートナーとの関係性を発展させる】
本コラムをお読みの方の中には、外部パートナー(代理店)へWeb広告の運用を委託している方も多いかと思います。

そのような場合は、ぜひ、現在抱いている違和感や不安などを外部パートナーにぶつけてみましょう。
「自社が受けるCookie規制の影響にはどのようなものがあるのか?」
「現状、どのようにしてCookie規制の影響を乗り越えているのか?」
「Cookie規制の状況を踏まえると、今後、自社は何をすべきなのか?」

契約内容によっては難しいかもしれませんが、パートナーの返答にしっくりこないときは、「広告管理画面にログインできる権限」を共有してもらうなどして、Web広告の成果を「ご自身の目で」確認してみるのも良いでしょう。

外部パートナーの「形や都合」に(良い意味で)合わせずに、疑問に思うことは徹底して質問・会話をすることで、御社が主導権を握り、パートナー企業の力を最大限に活用して成果を創出しましょう。

 

【対応③:管理画面・レポートだけの評価をやめる】
広告の管理画面または代理店から提出されるレポートだけで投資効果を評価・議論することはやめましょう。

「Cookieの規制でそもそも正しくCV計測できていない」という問題に加えて、昨今の「消費者行動の複雑化&広告媒体の乱立」も相まって、より一層、成果・データを正しく把握するということが困難になっています。

一見すると、順調に成果があがっているように見えても、内訳をきちんと調べてみると…

● 複数の広告媒体で重複してCVがカウントされてしまっていたり、
 (ex.1人の購入者が3つの広告をクリックした場合に、合算値の3がCVとしてカウントされている)
● 直接的でないCVが計測されていたり、
 (ex.購入直前のクリックもそれ以外のクリックも一律にCVとしてカウントされている)
● CVにリピーターが含まれていたり、
 (ex.新規顧客の獲得を目的に広告投資をしているはずが、実はリピーターにも広告配信されている)

などの理由で、CVを正しく計測できていないケースが少なくありません。

「正確にデータ計測できる環境を構築しましょう!」
「1st Party Cookieの収集&活用をメインにしましょう!」
などの理想論はありますが、いきなりはハードルが高いかと思います。

まずは「現状、正しくCV計測されていない可能性がある」ということを念頭に置くことが重要です。
そのうえで、②「外部パートナーとの関係性を発展させる」にも通じることですが、以下のような質問を御社内のWeb広告担当者や外部パートナーに尋ねてみるのが良いでしょう。

「無駄なクリックが多いのは、どの媒体か?」
「購入直前にクリックされているのは、どの媒体か?」
「新規顧客の獲得の貢献度が高いのは、どの媒体か?」

今日で、管理画面や広告レポートの数字だけをうのみにするのはやめて、外部依存ではなく、自分の身は自分で守るという意識のもと、「正しい情報を集める」という癖をつけましょう。

 

※補足)
広告運用に関する「自社のスタンス」を見つめ直すためのコラムを執筆しています。
ぜひ、こちらも合わせてご覧ください。
【第1回】こんな状態の広告事業主は失敗する!?ヤバい理由とあるべき姿<事例付き>
【第2回】こんな状態の広告事業主は失敗する!?ヤバい理由とあるべき姿<事例付き>
【第3回】こんな状態の広告事業主は失敗する!?ヤバい理由とあるべき姿<事例付き>
【第4回】こんな状態の広告事業主は失敗する!?ヤバい理由とあるべき姿<事例付き>

5.まとめ

まとめ

いかがでしたか?最後に、ポイントを整理します。

  • 『Cookie』は、Webサイトに残る「足跡」のようなもの。
  • 『1st Party Cookie』と『3rd Party Cookie』の2種類が存在する。
  • 『3rd Party Cookie』への規制が強まり、CVデータが欠損している。正しく計測できていない(可能性が高い)。
  • 対応①:Cookie規制に関する情報を「正確に」把握する。
  • 対応②:外部パートナーとの関係性を発展させる。
  • 対応③:管理画面・レポートだけの評価をやめる。

以上となります。

最後までお読み頂きありがとうございます!

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